「昔の銀座通りみたいに」。喫茶あんき・樋口知生がつくる、ゆっくりできる場所
2026.05.18
Relay From TAMCURRYの田村ゆかりさんからご紹介いただいたのは、「喫茶あんき」オーナーの樋口知生さんです。
中野市・銀座通り、LaLa銀座。かつては、平日から人が集まり、夜までに賑わっていたそうです。
その一角、中野陣屋前広場の側で、2025年11月にオープンしたのが「喫茶あんき」。樋口知生さんは、20年以上サラリーマンとして働いたあと、現在は喫茶店を営んでいます。「無料で提供しているお茶だけでも飲んでいってもらえればいい」と話す樋口さんの言葉には、この店の空気感が表れているようでした。
昔の銀座通りの賑わいを知っているからこそ、この街の活気を取り戻したかった。
その思いについて、お話を伺いました。
25年の会社員生活のあと、和菓子の世界へ
Q. まず、喫茶あんきを始めた経緯を教えてください。
A. もともとは25年くらいサラリーマンをやっていました。製造業で、開発関係の仕事です。飲食とは全然違う仕事でした。
昔から和菓子が好きだったんです。
脱サラし、好きだった和菓子の勉強をしたいと思い、京都へ京菓子の修行に行きました。
当初は和菓子屋をやりたかったんです。
でも、実際にやろうとすると設備投資がかなり大きく、資金的に難しい部分がありました。

営業日でも気さくに取材に応じてくださった樋口さん。
「喫茶店なら、好きなものを出せる」
Q. そこから、喫茶店という形になっていったんですね。
A. そうですね。
この物件の大家さんとご縁があって、「ここでやってみたらどうですか」と声をかけてもらったんです。
それで、まずは喫茶店という形で始めました。
喫茶店にしたのは、自分の好きな料理やお菓子をなんでも自由に提供できると思ったからです。
カフェって、かっこ良くてオシャレな商品を提供しなくてはいけない感じがあるじゃないですか。
でも喫茶店なら、定食も出せるし、和菓子もできるし、もっと自由にできる気がして。だから最初から「喫茶店」にしようと思っていました。

定食も、珈琲も、和菓子も。「喫茶だから、好きなものを出せるんです」と笑う。
「あんきに営業したい」
Q. お店をやる上で、大切にしていることはありますか?
A. 「あんきに営業する」ことですね。
「あんき」って、この辺の方言なんですけど。あまり気を張らずに、ゆったりやるというか。
この地域は高齢の方の割合が多いので、ゆっくり過ごしてもらえる場所になればいいなと思っています。
珈琲じゃなくても、無料で提供しているお茶だけ飲んで帰ってもらってもいいですし。
回転率を上げたいとか、特に利益を追求するつもりは無いです。
ちょっと寄って、お茶を飲んで、少し話して帰る。そういう場所になればいいなと思っています。

店内に置かれた「あんき」の土人形。この町ならでは。
昔の銀座通りの記憶
Q. 中野市への思いについても聞かせてください。
A. 自分は長野市生まれなんですけど、祖父母の家が銀座通りに有ったので、小さい頃はよく来ていました。
昔の銀座通りって、本当ににぎわっていたんですよ。
その景色が、自分の中では結構残っているんですよね。
だから、この土地で何かやりたいという気持ちは人一倍強いと思います。
やっぱりお店がないと活気がなく、人も集まらないと思うので。
喫茶店として、その一つになれればいいなと思っています。
昔みたいに、人が集まる場所へ
Q. 今後、この場所をどうしていきたいですか?
A. やっぱり、昔みたいに人が集まる場所になればいいなと思っています。
中野って、観光地みたいな強いシンボルがあるわけではないじゃないですか。
だからこそ、日常的に人が集まれる場所が大事なんじゃないかなと思っていて。
喫茶店って、別に特別な目的がなくても来られる場所なので。
ちょっと寄って、誰かと話して、また帰る。そういう場所として続けていければと思っています。
編集後記
「昔の銀座通りは、もっと人がいたんですよ」
そう話していた樋口さんの言葉が印象に残っています。
喫茶あんきは、何かを強く主張するお店ではありません。
でも、地域の人が少し立ち寄って、お茶を飲んで、話をして帰っていく。そんな時間を大事にしている場所でした。
昔の銀座通りを知っている人だからこそ、こういう店をやろうと思ったのかもしれません。
We Can
喫茶店という形にとらわれず、定食や和菓子など、自由な発想で店づくりをしています。
また、25年間の会社員経験を経て異業種で開業した経験から、「会社勤めのあとに自分で何かを始める」という視点で話ができます。
We Want
基本的に一人で営業しているため、仕込みや営業準備も含めると、かなり時間と体力を使っています。
同じように個人で店を営んでいる方や、地域で小さく商いを続けている方と、ゆるくつながっていけたら嬉しいです。