母から引き継いだおむすびを、次はキッチンカーへ。八井澤瑠美さんの仕事
2026.09.08
Relay From ミミエデンの宮下さんからご紹介いただいたのは、信州なかの高梨亭の八井澤瑠美さん。
八井澤さんが扱っているのは、おむすびです。製造は自社の事業所。販売は「いきいき館」への委託を中心に、イベント出店、立志舘のお昼の売店、注文販売にも対応しています。
もともとは、お母さんが仲間と始めた仕事でした。八井澤さんは、子どもが小さかった時期に手伝い始め、少しずつ仕事を引き継いできました。
おむすびは、作ったその日に売り切らなければなりません。イベントに出ても、来場者数や客層が読めないこともある。残ればロスになる。だから、どこで、どれだけ売るかが難しい。
今は、これまで続けてきたおむすびに加えて、キッチンカーでの販売も準備しています。メインに考えているのは、蕎麦粉のガレット。おむすび、にら煎餅、こねつけといった郷土食にも関心が広がっています。
母が始めたおむすびの仕事を、少しずつ引き継いだ
Q. 現在、「信州なかの高梨亭」ではどのようなお仕事をされていますか?
A. 主におむすびの製造・販売を行っています。製造は自社事業所で行い、販売は「いきいき館」への委託販売が中心です。その他、地域のイベントに出店したり、立志舘のお昼の売店で販売したり、お客様からの注文販売にも対応しています。
Q. このお仕事を始められたきっかけを教えてください。
A. 約20年前に母が仲間たちと「信州なかの高梨亭」を始めたのが原点です。それぞれが空いている時間で活動していましたが、年齢を重ねてやめる人が増え、母が事業を引き継ぐことになりました。私が一緒に働くようになったのは13年ほど前、結婚して子どもが小さかった時期で、就職が難しかったこともあり、手伝いからスタートしました。それまでは飲食店で調理や接客の経験がありました。4年前に個人事業主として母から事業を引き継ぎ、現在に至ります。

母から引き継いだおむすびの仕事について伺いました。
当日限りのおむすびを、どう売るか
Q. おむすびを販売する上で、大変なことはありますか。
A. おむすびは消費期限が当日限りという特性上、特にイベント出店での売れ残りが最大の課題でした。初めてのイベントでは客層や来場者数が予測しづらく、期待通りの売上にならないこともあります。販売場所を確保しても、お客様が来なければ廃棄になってしまうため、どうすれば安定的に販売できるか、常に試行錯誤の連続でした。以前は製造場所で直接販売を試みたこともありますが、周知の難しさからうまくいかず、断念した経験もあります。
Q. いまの販売の形は、どのようにつくってきたのでしょうか。
A. イベント出店は、天気予報の確認から始まって、以前出店したことのある知人に情報を聞いたりして、少しずつ経験を積んでいきました。特に、高梨城址公園で春と秋に開催される高梨まつりでは、臨時営業の許可を取って販売していた経験があり、これがイベント出店のきっかけとなりました。イベント出店募集はInstagramなどで目にすることが多く、本格的に出店を始めたのも、お店をやりたいとInstagramを始めた時期と重なります。中野市の「肉ランド」や「ひな市」、「環境祭」など、様々なイベントに出店するうちに、主催者さんから「また出店しませんか」とお声がけいただくことも増え、少しずつ販売の機会を広げていきました。
いつも同じおむすびをつくる難しさ
Q. おむすび作りで、大切にされていることはありますか?
A. 「いつも同じおむすびをつくる」ことです。これがなかなか難しく、特に新米の時期はお米の水分量が大きく変わるため、水に浸しておく時間などで調整が必要です。コンビニエンスストアのおむすびは常に味が変わらないというイメージがありますが、手作りでそれを実現するのは至難の業です。自分でも試食しながら「今日はご飯が柔らかいね」「少し硬いね」と感じることもあります。お客様に「いつもと違う」と感じさせないよう、できるだけ同じ食感になるように気をつけています。
キッチンカーで、蕎麦粉のガレットと郷土食へ広げる
Q. これからやっていきたいことはありますか。
A. 3年ほど前から温めてきたキッチンカーの計画を、来年にはスタートさせたいと考えています。メインで提供したいのは、蕎麦粉のガレットです。もちろん、おむすびも一緒に置くかもしれません。長野県といえば蕎麦、その蕎麦粉を使ったガレットは、フランスの郷土食でありながら、日本の郷土食であるおむすびとどこか通じるものがあると感じています。
「おごっそフェア」というイベントで、地元食材を使った販売条件があった際に、そば粉でガレットを作ってみようと思ったのが最初のきっかけでした。そこから数年の時を経て、やはりやってみたいという気持ちが再燃し、バラまつりなどでも試験的に販売してきました。最近では、この地域の郷土食である「にら煎餅」や「こねつけ」の販売も始めました。昔から食べ慣れた郷土の味が、私にとっては何よりも大切で、その魅力を多くの人に伝えたいという想いが強いです。
おむすびもガレットも、どちらも色々な具材やおかずと相性が良い「基本の食事」という点でも共通しています。キッチンカーを通じて、地域のイベント出店機会を増やし、郷土食の新たな楽しみ方を提案していきたいです。
おむすびの仕事を続けながら、販売の形を少しずつ探してきた八井澤さん。
おむすびは当日限り。イベントに出れば、売れる数を読みきれないこともある。朝早くから作って、夕方まで出店する負担もある。
その一方で、イベントに出ることで知ってもらえる機会は増えてきました。次の形として、キッチンカーで蕎麦粉のガレットや郷土食にも広げようとしているところに、八井澤さんらしい現実的な積み重ねがあると感じました。
関連リンク
We Can
おむすびの製造販売・注文販売・委託販売
地域イベントでの出店
高校などでのお昼販売
蕎麦粉のガレット
にら煎餅・こねつけといった郷土食
キッチンカーでの販売準備
We Want
おむすびは当日中に売り切る必要があるため、出店ではどうしてもロスの心配があります。早い日は朝3時頃から握って、夕方までイベントに出ることもあり、体力的な負担も大きくなります。
受注販売が増えれば、作る数が決まっているのでロスを減らせます。イベントで知ってくださる方は増えていますが、予約して買うという流れはまだ十分につくれていません。
会社や団体のお昼ごはん、地域行事、会議、集まりなどで、おむすびをまとめて注文してくださる方とつながれたらありがたいです。キッチンカーでの出店先や、蕎麦粉のガレット、にら煎餅、こねつけなどを出せるイベントの情報もあれば知りたいです。