屋根は、家族と暮らしを守る要。北村高圧㈱・北村謙太郎が継ぐもの

2026.08.03

Relay From 押鐘ファームの押鐘良介さんからからご紹介いただいたのは、北村高圧株式会社の北村謙太郎さんです。

北村高圧株式会社は、中野市・山ノ内町を中心に瓦や板金屋根の施工を行う会社です。創業は大正10年。今年で105年目を迎えます。もともとは粘土瓦の施工・製造から始まった会社。時代とともに板金屋根や金属の外壁などにも対応しながら、地域のお家を守る仕事を続けてきました。北村さんが家業に入ってから3年半ほどで、お父様が急逝。代表として社員とともに会社を続けてきました。

「屋根は、家と暮らしを守るためには欠かせないもの」

瓦一枚、板金一枚、ビス一本。その一つひとつが家を守るという、北村さんの屋根の仕事について伺いました。

105年続く屋根工事の会社

Q. まず、現在のお仕事について教えてください。

A. 屋根工事の施工店をやっています。創業は大正10年で、私は4代目になります。
昔は粘土・セメント瓦を製造していた時期もありましたが、今は瓦と板金の屋根工事を主な事業内容としています。ご依頼は中野市を中心に、北信エリアが多いです。ハウスメーカー様からのお仕事もあり、中信や南信まで施工に行くこともあります。会社としては、私を入れて7名の施工体制です。

いつか家業を継ぐと思っていた

Q. 家業に入ったきっかけは何だったのでしょうか?

A. 長男なのでいずれは家業を継がないといけないな、というのは小さい頃から考えていました。家業があって育ててもらったというか、会社に育ててもらったという気持ちもあります。恩という言い方が合っているかは分かりませんが、いつか自分が貢献しなければという想いがありました。大学も建築系に進み、卒業後は、屋根材の商社や、板金の施工会社にお世話になりました。そこで板金施工を勉強してから、30歳の時に家業に入りました。

当時は父が社長で、私は現場に入るという体制でしたね。

取材中、時折笑顔を見せながら話す北村さん。長く続く会社を背負いながらも、柔らかな雰囲気が印象的だった

瓦から板金へ、時代に合わせて広げる

Q. 外で板金を学んだということですが、北村高圧さんといえば瓦屋根のイメージがあります。

A. 確かに、家業はもともと瓦の施工店から始まっています。ただ、時代のニーズの変化や、施工店に求められる技術の幅も広くなってきました。瓦だけではなく、板金や金属の壁もあります。これまで会社が築いてきたものに、自分が外で学んできたものをプラスアルファで取り入れていく、そういうことを試みてきました。

急な承継と、会社を止められないという思い

Q. これまでで大変だったことはありますか?

A. 現場の大変さもありますが、一番大きかったのは2018年に入社して3年半くらいで父が急逝したことです。急なことでしたから、社長業の引き継ぎをする時間もなくて。そのタイミングは、なかなか大変でしたね。

Q. その時期を、どのように乗り越えてきたのでしょうか?

A. 会社を止めるわけにもいかないし、社員さんもいますから。ただ、社長が亡くなっても、社員が現場で提供できる技術やサービスは変わらないとも思っていましたので、社員と協力して乗り越えてきました。昔からお付き合いしていただいている元請けの建築会社様も勿論そうですが、瓦の工事の場合、何代にもわたってお付き合いしていただいているお客様もいますので、そういう方々に支えてもらった部分が大きいですね。

代表になる前は現場に出ていることが多かったので、お客様から直接感謝の言葉を聞く機会はそこまで多くありませんでした。でも、工事が始まる前のお打ち合わせから終わってからのやり取りもするようになって、感謝のお言葉をいただくタイミングが増えました。それも一つの糧にもなりました。

屋根は、家族と暮らしを守るもの。北村さんの言葉には、その大事な部分を任される責任感があった。

屋根は、家族と暮らしを守る要

Q. 屋根の仕事で、大切にしていることは何ですか?

A. 屋根の工事は、新築してから10年、20年、30年と、お家を守っていく仕事です。雨漏りなく、何十年もお家を守らないといけませんので、長期的に安心できる屋根を提供しなければいけない。適した材料を使って、長期的に家を守ってくれる工法を提供することが大切だと考えています。

瓦1枚、板金1枚、ビス1本。その一つひとつが、私たちの手を離れてからお家を守ってくれます。雨漏りしてしまえば、夜も眠れないという方もいます。だからこそ、安心安全の施工を心掛けていかなければならないと思っています。

Q. 北村さんにとって、屋根とはどんなものですか?

A. 家族や生活を守るための鎧のようなものだと思っています。ある屋根屋さんが言っていたんですが、昔は竪穴式住居だったじゃないですか。屋根があれば、家ができる。もちろん基礎も大事です。でも、屋根があれば生活できる。それくらい、要になる部分だと思っています。

瓦か、板金か。お客様に合わせて提案する

Q. 瓦と板金では、どのような違いがありますか?

A. 最近は板金も多くなってきています。時代の流れや、お施主さんの好みもある。ただ、メンテナンスに関しては、瓦が良い部分もあります。板金は経年で塗装が必要になるケースが多いですね。

古い建物の場合は、耐震の関係で軽い方がいいこともあります。だから、お客様の要望に合わせて、長い目で見て提案することが大事になります。塗装が最適であれば、無理に葺き替えは提案しません。塗装屋さんともお付き合いがありますので、お客様にとって何がいいのかを考えて提案しています。

技術を次の世代へ

Q. 今後の展望を教えてください。

A. 建設会社の施工店は、若い人が入って、技術を継承していかないといけないと思っています。代が変わっても、高い施工レベルを維持していくことが大事です。ただ、技術はずっと同じではありません。材料も変わりますし、求められるものも少しずつ変わっていきます。この地域で一番適した施工方法を継承していきたいです。

現在、社員の平均年齢も上がってきています。若手への技術継承や、働きやすい環境づくりも課題です。屋根の仕事は、高所作業で、夏は暑く、冬は寒い。過酷な環境でもあります。その分、色々な面で少しでも働きやすい環境をつくっていく必要があると思っています。

屋根は、長い年月、家族の暮らしと雨や雪から守る大切なものです。だからこそ、技術を磨いて、次の世代に継承していきたいですね。

編集後記

屋根は、普段あまり意識されないところかもしれません。
でも北村さんの話を聞くと、その瓦一枚一枚が暮らしを守っているのだと感じました。

We Can

北村高圧株式会社では、瓦屋根、板金屋根、金属外壁などの施工を行っています。
高所作業にも対応しており、ドローンを使った屋根点検も可能です。

We Want

現在、ホームページのリニューアルを進めています。
今後は、一般のお客様に向けた発信や、BtoCでの営業手法についても整えていきたいと考えています。営業手法やアドバイスをいただける方とつながれたら嬉しいです。
また、この地域は冬期に屋根工事がしづらくなる時期があります。
雪のある時期にも取り組める仕事や、新たな事業の柱についても模索しています。