好きなことを、できる形から少しずつ。MimiEden・宮下彩花が続けるお菓子づくり
2026.06.19
Relay From はちみつとネコの有賀敬晃さんからご紹介いただいたのは、「Patisserie&Cafe MimiEden」を営む宮下彩花さんです。
Patisserie&Cafe MimiEden(ミミエデン)は、宮下彩花さんが一人で営むお菓子屋さんです。焼き菓子を中心に、予約のホールケーキ、日替わりのケーキ、イベント出店。イベントでは、フルーツサンドや猫の形のトースト、ホットドッグを出すこともあります。
小さい頃から、お菓子作りは身近にありました。パン屋で働いていたお父さん。家で作っていた家族の誕生日ケーキ。「いつか自分のお店をやりたい」という気持ちは、自然と育っていったそうです。2008年、最初は工房のような形でMimiEdenを始めました。予約を受けて作り、発送したり、取りに来てもらったり。
できるところから少しずつ始めたお店は、今の店舗へとつながっています。地元の農家さんと出会い、信州中野産のフルーツや、有賀さんのはちみつなども使いながら。宮下さんのお菓子づくりについてお話を伺いました。
小さい頃から身近だった、お菓子作り
Q. お菓子作りの道に進んだきっかけは何だったのでしょうか?
A. 父がパン屋さんで働いていたので、小さい頃からお菓子作りは身近でした。家族の誕生日ケーキも、家で作っていたんです。そういう環境だったので、自然と「お菓子を作りたい」「ケーキ屋さんをやりたい」と思うようになりました。
小さい頃からの夢でしたね。
高校を卒業してからは、製菓専門学校に進みました。その後、新卒でケーキ屋さんで何店舗か勤めています。パンをつくる仕事をしていた父とはいつかは一緒にやってみたいという気持ちもありますが、 今はまだ勤め人なので影ながらサポートしてくれています。

イベント限定で登場する猫パンのホットドッグ。かわいらしさの中にも、MimiEdenらしい遊び心がある。
工房のような形から始めたMimiEden
Q. MimiEdenを始めたのは、どのような流れだったのでしょうか?
A. ケーキ屋さんで数店舗修行して次にどうしようかと考えた時に、もう一店舗違うお店で働くか、自分で何か始めるかを考えました。いくつか自分に合いそうなお店をお客さんとして見に行ったんですが、ピンとくるところがなくて。
それなら、自分ができるところから始めようと思いました。
MimiEdenを始めたのは2008年です。最初は今のような店舗ではなく、工房のような形でした。予約をいただいた分を作って発送したり、取りに来てもらったり。ある分だけ作ればよかったので、自分でも始められた部分がありました。
最初は自分のお店と勤めのダブルワークでした。しばらくして自分のお店一本に絞りイベント出店も始めた頃だったと思いますが、民放のテレビ局とケーブルテレビの取材を立て続けにして頂いたんです。当初は看板も出していない工房だったので、それで地元の方々に知って頂いた部分もあったと思います。
その後、保健所の更新のタイミングで今の店舗に移りました。

Patisserie&Cafe MimiEdenの外観。小さい頃からの夢だったケーキ屋さんを、宮下さんはできる形から少しずつ育ててきた。
大変だけど、苦ではない
Q. ここまで続ける中で、大変だったことや壁はありましたか?
A. 自分としては、「苦」だったという感じはあまりないんです。もちろん、お店を始めてずっと毎日必死ではあります。
材料も高くなっていますし労働時間も長いですが、この仕事が好きなので大変だけど苦ではないです。毎日睡眠時間が足りなくて眠いな、くらいはありますけど(笑)。
「明日、お店あるのかな」と思うこともあります。勤めていれば、安定した収入や給料がありますよね。ダブルワークをしていたのも、自分のお店をやるためでした。毎月定期的にもらえるお給料は大事だなとも思いました。あまり深く考えていたわけではないんですけど、自分の好きなことを続けるために、そうやって営業していたんだと思います。
Q. 乗り越えてきた、という感覚はありますか?
A. 毎日、プチ山を乗り越えている感じですね(笑)。大きな山というより、毎日小さい山がある。やっぱり、ケーキ屋さんが好きなんですね。この前、テレビに出させていただいた時に、「夢を叶えた」ということを取り上げてもらいました。その時に、そういえば小さい頃からの夢だったなと、改めて自覚した部分はあるかもしれません。
高校は中野西高校の英語科で。一瞬、英語の道に行こうか、製菓の道に行こうか迷ったこともあります。英語塾でアルバイトをしていたこともありました。でも、私にはケーキの道が合っていると思って、今の道に進みました。そんなに悩むほどではなかったと思いますが、好きなことに突き進んだ感じですね。今は英語、全然喋れないですけど(笑)

現在の店舗に移って間もない頃の一枚。新しい場所で少しずつ歩き始めた時期。
農家さんと出会って、使いたいものが増えていった
Q. お菓子作りで大切にしていることはありますか?
A. 最初にお店を始めた時は、ただケーキを作りたいという気持ちでした。でも、イベント出店をするようになって、地元の農家さんと知り合う機会が増えたんです。そこで、地元のおいしいものを知る機会も増えました。
うちは農家ではなかったので、最初はフルーツの事もそこまで考えていませんでしたし、勤めていた頃も缶詰のフルーツを使うこともありましたが特段疑問も抱いておらず。でも、農家さんと知り合って、教えてもらって、より興味が湧いて。身近なフルーツで自分で作れるんだ!と思ったんです。
そこから手に入るものは地元の素材を使ってお菓子作りをするように心がけています。商品名も、「信州中野産〇〇」みたいに、長ったらしくなったりするんですが、それでも地元産を使っていることは伝えたいんです。せっかく北信にはおいしい食材があるので、その良さを知ってもらいたい。使いたいと思っています。
知らなかったものも多かったんですよね。りんご、ぶどう、なし、という大きなくくりでは知っていました。
でも、それぞれの品種の違いまでは、最初は全然分かっていなくて。農家さんに教えてもらって、使い比べてみると、本当に違うんです。

その日ごとに並ぶMimiEdenの日替わりケーキ。地元の果物や季節の素材を活かしている。
農家さんから直接仕入れる理由
Q. 今後も、地元の食材を使ったお菓子作りを続けていきたいですか?
A. そうですね。せっかく地元においしいフルーツがあるので、続けていきたいです。私は地元のフルーツは出来るだけ農家さんから直接仕入れるようにしてます。問屋さんから仕入れた方が安い場合もありますが、値段以上の良さがあると思っていて。農家さんとのつながりが、地元でやっている良さだと思います。

焼き菓子やケーキが並ぶ店内。工房から始まったMimiEdenが、少しずつ形を変えながら続いてきた場所。
続けられる限り、続けたい
Q. これからの展望を教えてください。
A. お店を続けていきたいです。続けられる限り、続けたい。小さい頃からの夢ですし、これ以外にしたいことがないんです。
毎日必死ですし、不安がないわけではありません。材料も高くなっていますし、一人でやっているので、できることにも限りがあります。それでも、やっぱりこの仕事が好きなんだと思います。
地元の農家さんから果物を仕入れて、品種の違いを教えてもらって、使ってみて。「これでこういうお菓子を作れそう」と思うと、また作りたいものが増えていきます。
最初は、ただケーキを作りたくて始めたお店でした。工房のような形から始めて、予約分を作って、イベントに出て、少しずつ知ってもらって、今の店舗につながりました。大きく広げたいというよりは、自分が作れるものを、ちゃんと作っていきたいです。
これからも、地元のおいしいものを使いながら、MimiEdenを続けていけたらと思っています。
We Can
MimiEdenでは、焼き菓子を中心に、予約制のホールケーキ、日替わりケーキなどを作っています。
イベント出店では、フルーツサンドや猫の形のトースト、ホットドッグなど、限定の商品を出すこともあります。
一人で作っているため大量生産は難しいですが、小ロットの商品づくりには対応しやすい面があります。
地元のフルーツや、はちみつなどの素材を使い、生産者さんと相談しながらお菓子を作ることもできます。
We Want
大量生産や、安価な薄利多売の商品づくりは難しいです。
一人で作り、一人で販売しているため、販売できる量にも限りがあります。
そのため、ただ商品を並べて売るだけではなく、素材の背景や作り手の想いを分かって伝えてくれる方とつながりたいです。
また、地元のおいしい素材を作っている生産者さんや、イベント・販路づくりで連携できる方ともつながっていけたら嬉しいです。
Next Relay
このバトンが、次へつながる。
信州中野高梨亭 おむすびや 八井澤瑠美さん
共同開発でも関わりがあり、次にご紹介したい方です。