“当たり前に食べられるお米”を支える。草間商事・小林洋貴

2026.05.13

有限会社草間商事 小林洋貴 専務。社屋入口にて。

Relay From 丸山自動車の丸山大さんからご紹介いただいたのは、有限会社草間商事 専務取締役の小林洋貴さんです。先々代の頃からお付き合いがあり、現在もトラックの車検整備などで関わりがあるそうです。

「お米の仕事」と聞くと、田んぼで稲を育てる農家の姿を思い浮かべる人が多いかもしれません。一方で、そのお米を乾燥し、精米し、品質を整え、商品として流通につなげる仕事があります。中野市にある有限会社草間商事は、そうした“お米の裏側”を支えている会社です。

食用米だけでなく、酒米や味噌などの加工用米の精米。秋には農家から持ち込まれた籾の乾燥や調整も行っています。さらに、小林さん自身は農産物検査員の資格も持ち、農家へ品種や品質について助言することもあるそうです。

話しぶりは穏やかで、どちらかといえば控えめ。けれど、話を聞いていくと、「ちゃんとしたものを出したい」という感覚が仕事の中心にあることが伝わってきました。地域のお米を、きちんと次につないでいく。そのために、今日も工場の中でお米と向き合っています。

家業に入るかどうか、かなり悩んだ

Q. 草間商事に入られた経緯を教えてください。

A. 家業ですね。祖父の代から続いています。大学は県外で、コンピュータ系の勉強をしていました。正直、進路はかなり悩みました。

大学では好きなことをやらせてもらっていたので、恩返しみたいな気持ちもあったと思います。最終的には、新卒で家業に入りました。

当時は、お米の仕事を詳しく理解していたわけではありませんでした。入ってから覚えていった感じです。

工場内では、お米の状態を見ながら細かな調整を行っている

「見りゃわかる」と言われても、最初は全然わからなかった

Q. 入社当初は苦労もありましたか?

A. かなりありました。周囲は10年、20年やっている人ばかりで、その中に新人として入ったので。

特に難しかったのが、精米機の調整です。お米によって流す量を変えたり、白さを調整したりするんですが、その加減がすごく難しいんです。水門の開け閉めみたいな感覚なんですけど、流しすぎてもダメだし、少なすぎてもダメ。詰まることもあるし、仕上がりにも影響が出る。

「見りゃわかる」と言われても、最初は全然わかりませんでした。機械にも、スタッフにも迷惑をかけたと思います。

数をこなして、少しずつ覚えていった

Q. そこから、どうやって仕事を覚えていったのでしょうか?

A. とにかく数をこなしました。失敗するかもしれないと思いながらも、やるしかなかったので。少しずつ、お米ごとの特徴とか、機械の癖とかがわかるようになっていきました。

大学でやっていたコンピュータ系の知識が、意外と役に立った部分もあります。機械の電気配線だったり、設備関係の話とか。機械の更新をした時は、開閉口の位置が変わったりして、工場のレイアウト自体を考え直したこともありました。

色彩選別機という、お米をきれいにする機械もあります。以前は蛍光灯を使っていたんですが、廃盤になってしまって、LED化したりもしました。会社としても、いろいろ挑戦させてもらえたと思います。失敗するとわかっていても、何度も機会を与えてもらえたので。

選別機を通したお米を手に取りながら、品質や特徴について説明してくださった

「文句を言われないものを出したい」

Q. 仕事をする上で、大切にしていることはありますか?

A. やっぱり品質ですね。出す製品に関しては、クレームが「100%」出ないものしたい。文句を言われたくない、という感覚は強いです。

最近は農家さん側も手が回らない部分が増えていて、天候の影響で黄色っぽくなるお米もあります。そういうものも、できるだけ品質を高められるようにしています。そのために、業界の中でもかなり性能の高い機械を入れています。高価な設備ですが、品質を考えると必要でした。

ただ、大きな機械を入れたことで、小ロット対応が難しくなった部分もあります。そこは今後の課題ですね。

農家さんが続けられなくなると、地域のお米も続かない

Q. 今後について考えていることはありますか?

A. 一番は、困っている農家さんの手助けができればと思っています。農家さんの平均年齢も高くなっていますし、後継者がいないという話もよく聞きます。

自分は農産物検査員の資格も持っているので、研修に参加して、新しい品種や高温耐性のお米の情報なども勉強しています。例えば、「早く新米を食べたい」とか、「暑さに強い品種にしたい」とか、それぞれに合った提案もできればと思っています。

酒米や加工用米は、食用とは別の精米機を使っています。お米といっても用途はいろいろなので、それに合わせて対応しています。地元のお米が売れなくなってしまうのは、やっぱり良くないと思っています。

色彩選別機の中を流れるお米。品質を均一に保つため、一粒一粒が選別されていく。

“当たり前に食べられるお米”を、これからも

Q. 草間商事として、これからどういう存在でありたいですか?

A. 特別なことをしたいというよりは、ちゃんと必要とされる仕事を続けていきたいです。

農家さんから預かったお米を、きちんと仕上げて返す。加工用なら、その次の工程につなげられる状態にする。そういう当たり前のことを、当たり前にやれるようにしたいです。

今は人手不足もありますし、配達などももっと強化したい気持ちはあります。ただ、まずは品質を落とさないことを大事にしたいですね。

地域のお米が、これからもちゃんと地域で循環していく。その一部分を支え続けられればと思っています。

編集後記

米づくりというと、田んぼの風景を思い浮かべる人が多いかもしれません。でも実際には、その後ろで乾燥や精米、検査を担う人たちがいて、初めて「商品」としてお米が届きます。草間商事は、そういう地域農業の土台を支える会社でした。

品質を守るために設備を更新し、失敗を重ねながら技術を身につけ、農家さんの相談にも向き合っていく。小林さんの話からは、そうした積み重ねのお仕事が伝わってきました。

We Can

食用米だけでなく、酒米・味噌・発酵用など加工用米にも対応した精米を行っています。
また、農家さんから預かった籾の乾燥・調整・委託精米にも対応しており、お米に関する相談全般に乗ることができます。

We Want

現在は人手不足が課題となっており、特に配達面の強化を考えています。
また、小ロット対応や地域農家へのサポートなど、今後どういう形で地域のお米を支えていけるかも模索している最中です。

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有限会社やまろく機工 今井裕也さん

先代から取引させてもらっているやまろく機工、後継者の今井さんです。