自分らしく、家族と地域と。関 香さんが育む、こどもと大人のためのカフェ「nana-mar」

2026.04.28

こどもときどきハーブカフェ 関 香|せきかおり さん。店舗前にて撮影。

Relay From 「AbeFarm」の阿部達也さん。阿部さんの奥様がお店の常連さんで、ご家族で夕食会の会場にお使いいただくこともあるそうです。

中野市にある「こどもときどきハーブカフェ nana-mar|ナナマール」は、その名の通り、子ども連れのお母さんが「ときどき」一息つける大切な場所です。店主の関 香さんは、自身の育児経験からくる切実な思いを形にしつつ、現在はカフェ運営、ご主人の仕事のサポート、そして月1回の限定出店と、あえて一つに絞らない自由なスタイルで活動しています。

「子どもがいても、自分らしくいられる場所」が欲しかった

Q. カフェを始めたきっかけと、現在のお仕事について教えてください

A. ここは、赤ちゃん連れの方が気兼ねなく外食を楽しめるカフェです。私自身、2020年に長女を出産したのですが、当時はちょうどコロナ禍。以前に飲食関係の仕事をしていたこともありましたが、いざ自分が親になってみると、小さな子を連れて行ける場所が本当にないことに気づいたんです。

「子どもがいても、自分らしく過ごせる場所が欲しい」。そんな思いから、中野市のチャレンジショップに応募したのが始まりでした。創業から5年、子どもたちの成長に合わせてお店の形も変えてきました。今は「飽き性の自分」を認めて(笑)、週3日を定休にして主人の仕事を手伝ったり、中野市の「nakano-drop」で月1回のカフェを開いたりと、無理のないバランスで活動しています。

「理想を求め過ぎないって決めたんです」と照れ笑いする関さん。その自然体な明るさが、お店に集まる親御さんたちの心を軽くしています。

パラグアイで知った「なんとかなる」という自信

Q. 20代の頃にはパラグアイに行かれていたとか。今の生き方に影響はありますか?

A. 中学校の時に見たワールドカップで、パラグアイの選手(チラベルト)がずっと頭の片隅にいたんです(笑)。社会人になってから「今しかない!」と仕事を辞めて、JICA海外協力隊としてパラグアイに飛び込みました。

現地では市役所に配属されましたが、デスクワークが全然なくて。結局、老人クラブで運動教室や日本語を教えたりしていました。マテ茶を回し飲みするような、ゆったりした現地の文化に触れて「定職につかなくても、生きていけるんだな」と。この時の経験があるから、今も一つの形に縛られず、自由に動けているんだと思います。

パラグアイ時代のお写真(本人提供)。マテ茶と同僚たち。

理想を捨てて、「やらないこと」を決める勇気

Q. 仕事と子育ての両立で、壁にぶつかったことはありましたか?

A. 以前の私は「やりたい!」と思ったら即実行するタイプでした。でも、子どもが生まれると、自分のペースが全く通用しない。夜の寝かしつけで一緒に寝落ちしてしまったり、仕事が進まなかったり……。数年くらいまでは、そのバランスが取れずに本当に苦しんで、当時の夫婦喧嘩もすごくて(笑)。

そこを抜けるきっかけになったのは、「やらないことを決める」ことでした。「完璧な理想」を追うのをやめて、家事も仕事も「できないことはできない」と割り切る。自分を許して、夫との役割分担を受け入れるようにしたら、ようやく心が穏やかになりました。いかに「やらないでいられるか」です。

3人の育児に奮闘する毎日。お子さんたちの成長が、nana-marが進化していくヒントにもなっています。

学校以外の「大人」に出会える地域に

Q. これから、この地域でやってみたいことはありますか?。

A. 子どもたちや学生さんが、学校以外の「多様な大人」と話せる機会を作りたいです。私自身、学生時代にいろんな生き方を知る場があれば良かったなと思っていて。

例えば、学校に行かない選択をした子が、大人になってどんな風に働いているのか。狭い世界だけでなく、いろんな経験をした大人と出会えれば、悩みも少し軽くなるはずです。また、地域在住の外国籍の方と一緒に、食育イベントをしてみたいですね。食を通じて海外の文化を知ることで、子どもの頃から多様な視点を持てるような、そんなきっかけの場をこのカフェから広げていきたいです。

編集後記

「私、飽き性なんですよ」とカラリと笑う関さん。その言葉の裏には、理想と現実の間で悩み抜いた末にたどり着いた、「自分を大切にするための潔さ」がありました。

「完璧でなくていい」という彼女のスタンスは、そのままカフェ「nana-mar」の優しい空気感に繋がっています。関さんが注ぐハーブティーのように、頑張るお母さんたちの心をふわっと解きほぐしてくれる。そんな素敵な場所が、この街にあることがとても心強く感じられた取材でした。

We Can

「人と人を繋ぐ」のが昔から得意です。特定のスキルを持つ人を探していたり、何か困りごとがあったりする方がいれば、間に入ってお手伝いできるかもしれません。

We Want

お店を使って、一緒に面白いイベントを企画してくれる方を募集中です。特に子ども向けの食育や、世界の文化を伝えるような催し物に興味がある方、ぜひお声がけください!

Next Relay

このバトンが、次へつながる。

TAMCURRY. タムカレー 田村ゆかりさん

高校の同級生です。卒業以来会っていなかったのですが、最近「nakano-drop」で偶然再会しました。今改めて、面白い縁が繋がっています。