「努力した分、報われたい」山梨から北信へ。えのき農家を継いだ元塾講師が描く、日本一への道筋。
2026.03.27
Relay From ヤマデザインの山本浩二さんにご紹介いただいたのは、株式会社小池えのきの代表取締役、古屋健太さん。元塾講師という異色の経歴を持つ古屋さんが、長野県北信地域でえのき農家として奮闘する姿を追いました。
長野県北信地域、きのこ栽培が盛んなこの地で、静かに、しかし情熱的に日本一を目指す経営者がいます。株式会社小池えのきの代表取締役、古屋健太さん。元々は山梨で塾講師として教壇に立っていた彼が、縁あってえのき農家へと転身した背景には、どのような思いがあったのでしょうか。結婚を機に環境を変え、新たな挑戦を続ける古屋さんの、仕事への哲学と未来へのビジョンに迫ります。
現在のお仕事
Q. まずは、古屋さんの現在のお仕事について教えていただけますか?
A. えのきたけの生産と販売が主な事業です。主にJAさんを通じて、市場に供給しています。毎日、安心でおいしいえのきをお届けできるよう、栽培から出荷まで一貫して取り組んでいます。
原点:長野への転身
Q. 元々山梨で塾講師をされていたと伺いました。なぜ長野でえのき農家を継ぐことになったのでしょうか?
A. はい、山梨では塾や予備校の講師をしていました。生徒たちが目標を達成する手助けをする、とてもやりがいのある仕事でしたね。ただ、夜の仕事が中心になるので、結婚して子どもができた時に、子育てとの両立に難しさを感じ始めたんです。塾講師時代は、年間1000人単位で生徒の実績を上げ、努力した分だけ報われるという実感がありました。そんな中で、妻の実家が長野でえのき農家を営んでいるという縁があり、結婚を機に長野へ移り住み、この仕事に携わることになりました。

苦悩:社内体制の構築
Q. 新しい環境、新しい仕事への挑戦の中で、特に「壁」と感じたことはありましたか?
A. 大きな壁は乗り越えてしまうと、案外覚えていないものですね(笑)。ただ、リアルなことを言えば、やはり社内体制の構築には苦労しました。自分の経営方針や「小池えのき」の色を浸透させていくこと。中途半端な状態では何も進まないと感じていましたし、徹底してやっていく中では、苦しく感じる部分も正直ありました。ただ、30代という若さで引き継がせてもらえたのは幸いでしたね。50代とかだともっと体力的にも精神的にも大変だったかもしれません。世代交代というタイミングだったことも、追い風になったと思います。
転機:モチベーション維持とスタンス
Q. そのような壁を、どのように乗り越えてきたのですか?
A. モチベーションを高く保つことを常に意識していました。働き過ぎない、嫌なことはしない、良く寝る、遊ぶ。そして、ネガティブな人とは関わらない、近づかない。運気が下がらないように、自分の振る舞いには気をつけています。モチベーションが高くないと、どんな壁も乗り越えられませんからね。同じことばかりしていると、モチベーションは下がってしまう。経営理念は、まず自分自身が体現していなければなりません。情報収集はする方ですが、永遠にやり続けるとキリがないので、最初の2~3年で集中して行い、そこからは実践に重きを置いています。ブレないよう、自分のスタンスを固めてきました。

哲学:スピードと意思決定
Q. 仕事をする上で、古屋さんの「こだわり」や「ルール」があれば教えてください。
A. スピード重視、これに尽きます。あらゆる面で、意思決定のスピードを大切にしています。判断はギリギリまで粘ることもありますが、それは情報収集や行動によって、より良い判断ができるタイミングを見極めるためです。例えば見積もり一つにしても、多くの業者から取ることで、より良い選択肢が見えてくる。保留が増えるとモチベーションも下がってしまうので、なるべく早く課題を解決することを心がけています。
未来:日本一を目指して
Q. この地域、そして「小池えのき」を今後どのようにしていきたいですか?
A. きのこの分野で、日本一の企業を目指しています。その目標に対して、今何が足りていないのか、何を改善すべきなのか、日々その繰り返しです。もちろん、他の企業を見れば、私たちより多くの売上を上げているところもあります。まだまだ、もっとできることがある。常に上を目指していく姿勢を大切にしています。

編集後記
元塾講師という、一見すると農業とは全く異なるキャリアから、長野の地で新たな挑戦を続ける古屋健太さん。彼の言葉からは、目標達成への強い意志と、それを支える揺るぎない哲学が感じられました。株式会社小池えのきの日本一への道は、まだ始まったばかりです。
We Can
高品質なエノキタケを安定して供給できることです。この『品質への信頼』こそが、私たちが提供できる一番の価値だと自負しています。
We Want
何よりも「人材」ですね。弊社の経営理念に共感し、特にコミュニケーション能力の高い人材を求めています。商品にこだわりを持つ人は多くいますが、それは当たり前。その素晴らしい商品を作るための「組織力」が非常に重要だと考えています。コミュニケーションが円滑な組織は、どんな課題も乗り越えられると信じています。
Next Relay
このバトンが、次へつながる。
株式会社タカギセイコー 髙木 一成さん
JCで共に活動していた頃からの縁で、非常に信頼を置いている方です。地域のこと、仕事のこと、彼ならではの視点が聞けるのを楽しみにしています。